大会出場者の手記やリタイア経験者の証言を突き合わせると、両者を分ける要因は「フルマラソンの走力そのもの」よりも「エネルギーマネジメントと心理的ペース配分の冷静さ」にあることが明白です。
初挑戦でリタイアする典型的なパターンは、前半のフラットな道に誘われてキロ5分台前半などで貯金を作ろうとするケースです。ウルトラマラソンにおける過剰な「貯金思考」は、50km以降の内臓疲労と筋破壊を引き起こし、65km〜70kmの魔の区間で急激なペースダウンを招きます。
一方、安定してフィニッシャーとなるランナーは、前半は「遅すぎる」と感じるほどのペースを厳守し、50km地点の大エイド(レストステーション)で確実に補給食とドロップバッグを活用して身体をリセットしています。筋肉の冷えを防ぐシャツの着替えやソックス交換、消化吸収の良い糖質・電解質の補給をルーティン化しているランナーほど、過酷な後半戦を生き残っています。