福岡市中央区天神のランドマークであったTOHOシネマズ天神は、かつて明治通り沿いにあった「本館(旧・天神東宝)」と、ソラリアプラザ7階の「ソラリア館」の2拠点体制で運営されていました。しかし、2017年11月18日に本館が閉館し、残されたソラリア館(3スクリーン・計463席)も2020年3月31日をもって営業を終了しました。
東宝興行および運営元の公式発表資料や当時の業界動向を分析すると、閉館に至った主な要因は以下の3点に集約されます。
第1に、定期建物賃貸借契約の満了です。ソラリアプラザ開業(1989年)および劇場オープン(1997年にシネテリエ天神等を経て改装)から年月が経過し、契約更新のタイミングを迎えたことが直接的な契機となりました。
第2に、スクリーンの小規模性と設備投資効率の課題が挙げられます。近年のシネマコンプレックスは8〜10スクリーン以上、2,000席前後のキャパシティを持ち、IMAXやドルビーシネマ、4DXなどの最新体感型設備を導入するのが全国的な標準です。ビルイン型の3スクリーンという規模では、配給される大作映画を網羅しながら高い収益性を維持することが難しくなっていました。
第3に、福岡都市圏におけるシネコン勢力図の再編です。近隣では「ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13」「T・ジョイ博多」「ユナイテッド・シネマ福岡ももち(2018年開業)」などが台頭。TOHOシネマズ側も、後に開業する「TOHOシネマズららぽーと福岡(2022年4月開業・9スクリーン)」のような広域集客型フラッグシップ施設へのリソース集中を優先した結果といえます。