ネット上のチュートリアルやSNS動画を見ていると、「リアルな陰影のつけ方」や「多色使いによる立体感の演出」が称賛される傾向にあります。しかし、日常生活でサッと描きたい一般ユーザーにとって、この「リアル志向の追求」こそが最大の挫折要因となっています。
現場の実態を調査すると、Web上のスイーツイラスト無料まとめサイトから高解像度の素材をダウンロードして印刷する人がいる一方で、「印刷するほどではない一筆のメモ」に悩む人が後を絶ちません。ここで生じている致命的な誤解は、「上手なイラスト=リアルで描き込みが多い絵」という固定観念です。
実際には、小さな手帳のマンスリー枠や付箋に複雑な陰影を書き込むと、インクが滲んで線が潰れ、単なる黒い塊になってしまいます。線の本数は極限まで減らし、1つのモチーフに対して引く線は最大でも15本以内に抑えるのが、視覚的に最も伝わりやすく清潔感を保つ秘訣です。高価な画材やデジタルタブレットを使わなくても、身近な事務用ボールペンで描かれたシンプルな線画のほうが、受け手に親しみやすさを与えます。