ネット上の掲示板やSNSで頻繁に交わされる「近大薬学部は留年祭りで過酷」「学費が高すぎて途中で払えなくなる」といった不穏な噂。これらの情報はどこまでが事実で、どこからが誇張なのでしょうか。
まず学費に関して、公式発表資料に基づくと初年度納入金は約230万円、6年制の総額は約1,350万円に達します。これは関西私立薬学部の平均相場(1,200万〜1,450万円)と照らし合わせても標準的な範囲内であり、「他大学と比べて突出して高額」という批判は明確な誤解です。ただし、薬学教育特有の実習費や教科書代、国家試験対策講座の追加費用が学年進行とともに発生する点は、家庭内で十分な資金計画を立てておく必要があります。
一方、より深刻なのが進級難易度です。厚生労働省や文部科学省の公表データを丹念に分析すると、近畿大学薬学部における「標準修業年限(ストレート)での卒業率」はおよそ65%〜75%の間を推移しています。裏を返せば、入学者の約3割前後は一度以上の留年、休学、あるいは進路変更を経験している計算になります。
この数字だけを見ると驚異的に思えますが、実はこれこそが現代の私立薬学部が抱える構造的必然です。薬学部では4年次の共用試験(CBT・OSCE)、5年次の長期実務実習、そして6年次の「卒業延期(卒業試験による受験足切り)」という複数の関門が待ち受けています。大学側としても、合格の見込みが立たない学生をそのまま国家試験本番に送り出すわけにはいかず、各学年で厳格な成績審査を実施せざるを得ません。現場の教授陣が語るように、「落とすための進級試験」ではなく、「医療過誤を防ぎ、国家試験を突破できる学力を担保するための足切り」が機能しているのが実態です。