暴力団取材の第一人者であるノンフィクション作家の溝口敦氏は、早くからヤクザの衰退と半グレの台頭という構造変化を指摘していた。厳罰化が進む暴力団排除条例によって、伝統的な極道組織は資金源を断たれ、看板を掲げて活動することが困難になった。その巨大な空洞を突く形で台頭したのが、代紋を持たない若者たちだった。
溝口氏のノンフィクション作品が明らかにしてきたように、彼らはヤクザのような仁義や組織の掟に縛られない。合理主義と損得勘定だけで動き、警察の摘発リスクが高まればあっさりと仲間を切り捨てる。伝統的極道が衰退したあとに生まれた歪みこそが、現在の流動的な犯罪インフラを育む土壌となった。