五王の順番を覚えた次に待ち受ける最大の関門が、「日本のどの天皇に当たるのか」という比定問題だ。中国名と日本側の名前が異なるため混乱しやすいが、系図の世代関係を整理すればパズルは綺麗に解ける。
最も重要なアンカーとなるのが、最後の「武(倭王)」だ。武は『日本書紀』や『古事記』に登場する大悪天皇とも称された強力な専制君主、雄略天皇(ワカタケル大王)と完全に一致する。まずは「武=雄略」という強固な軸を打ち込む。
続いて他の王を見ていこう。「讃(倭王)」は諸説あるものの履中天皇(または応神・仁徳天皇)に比定されることが多く、その弟である「珍(倭王)」は反正天皇に対応する。そして「済(倭王)」は允恭天皇であり、その長男が「興(倭王)」すなわち安康天皇だ。興の弟が雄略天皇(武)という血縁関係の連鎖になっている。
「讃と珍は兄弟」「済と興は親子」「興と武は兄弟」。この血縁の骨組みを頭に入れておくだけで、対応関係の取り違えは劇的に減少する。