IT分野における脆弱性(Vulnerability)とは、OS、ソフトウェア、ネットワーク機器、Webアプリケーションなどに存在する「プログラムの不具合や設計上のミス」に起因する安全上の弱点のことです。建物に例えるなら、「鍵の構造に欠陥があり、合鍵がなくてもピッキングで簡単に開いてしまうドア」のような状態を指します。
よく混同される用語に「セキュリティホール」があります。実務上はほぼ同義として扱われますが、厳密にはニュアンスの違いが存在します。セキュリティホールは主に「ソフトウェアのバグやプログラムの欠陥そのもの」を指す狭義の言葉です。一方で脆弱性は、プログラムのバグだけでなく、初期設定の不備(推測されやすいパスワードの放置など)や、従業員の運用ルール上の不手際といった「セキュリティ上のリスクを生み出す構造的な弱点全般」を包括する広義の概念として使われます。
悪意を持つ第三者は、こうしたシステムの隙間を探し出し、内部ネットワークへの侵入や管理者権限の奪取、データの不正改ざんを試みます。脆弱性を把握せずにシステムを運用し続けることは、鍵の壊れた金庫を人通りの多い路地に放置しているのと同義です。