ネットカルチャーの歴史を振り返ると、幼児誌『幼稚園』のCMフレーズは、ニコニコ動画で往年のプロレス入場曲(ボンバイエ)等と組み合わせたMAD動画「よーちえんの1月号には楽しい付録がいっぱいいっぱいwwww」として親しまれ、Tumblrや掲示板で長年にわたりネタとして引用されてきた。しかし、そのパロディを現実が追い越す転換点が訪れる。
情報共有サイト「アニヲタWiki(仮)」の記録によれば、2016年頃から「素晴らしい完成度だ」と付録の質が話題になり始め、2021年には「今の幼稚園の付録はガチャとかATMとか楽しいどころか大人もビビるような本格付録がいっぱいいっぱいなんだよなあ」といった書き込みが相次ぐようになった。今やショート動画プラットフォームのTikTokでも「#楽しい付録がいっぱいいっぱい」を掲げた動画が数百万回単位で再生され、若年層や子育て世代が開封動画に驚嘆のコメントを寄せている。もはやネットスラングとしての誇張ではなく、事実として「大人が戦慄する付録」がフロアを席巻している形だ。
その実態は、紙と簡易プラスチックの域を完全に脱している。セブン銀行とのタイアップで話題をさらった「ATM付録」では、モーターと複数のギアが組み込まれ、ボタンを押すと実物そっくりの音声が鳴りながら紙幣を吸い込む。バンダイ公式協力による「ガシャポン」は、本物と同一のギミックを紙と透明樹脂で再現し、ダイヤルを回せばカプセルが確実に1個ずつ排出される構造だ。かつては数分で作り終えていた幼児誌の付録が、今やモーター配線や精密なギアの噛み合わせを要する本格工作キットへと変貌を遂げている。