横浜の紅茶史を紐解く上で、決して外すことができないのが横浜元町エリアだ。かつて外国人居留地への供給地として発展した元町は、西洋の食文化や生活習慣を日本国内で最も早くブレンドさせた独特の土壌を持つ。ここに根づいたカフェ・喫茶文化は、東京のそれとは一線を画す独自の優雅さを漂わせている。
元町の老舗紅茶専門店では、銀器のティーポットで丁寧に淹れられたアッサムやダージリンが、アンティークのカップ&ソーサーで運ばれてくる。時代がどれほどデジタル化しようとも、マスターの手つきや茶葉へのこだわりが変わることはない。異国文化を受け入れ、それを独自の「おもてなし」へと昇華させてきた元町の路地には、本物を知る大人が羽を休めるための確かな居場所が今も息づいている。