近年の紅白において、対戦形式の枠組を超えて視聴率を押し上げる決定打となっているのが「特別企画」の存在です。NHKホール以外の特設スタジオや地方中継会場、事前収録のシネマティック映像を組み合わせた演出は、番組全体のアクセントとして機能しています。
舞台裏の関係者取材によると、特別企画が配置される時間帯には明確な意図が存在します。第1の山場は21時45分前後。民放各局の年越し特番が強力な裏番組をぶつけてくるこのタイミングに、往年のレジェンドアーティストや世界的人気を誇るグローバルグループの特別枠が投入されます。さらに、第2の山場となる22時30分前後には、連続テレビ小説の主題歌メドレーや社会的ムーブメントを起こしたカルチャー企画が組み込まれ、幅広い世代の視線を再び画面へと釘付けにします。
そして番組のクライマックスである「大トリ・トリ」の歌唱順は、23時15分から23時35分頃にかけて展開されます。紅組トリ、白組トリ、そして番組全体の締めくくりとなる大トリ。選考にはその年の音楽シーンへの貢献度はもちろんのこと、「日本全国の誰もが口ずさめる国民的アンセムを持っているか」「1年を締めくくるにふさわしい圧倒的な声量と風格を備えているか」という極めて厳格なハードルが課されます。歴代のステージで語り草となった感動的なフィナーレは、この精緻に組み上げられたカウントダウン演出の賜物にほかなりません。