物語が実質的な休止を迎えた第84話直前、読者に走った衝撃は今なお語り草だ。最大の発端となったのは、人気ロックバンド「TRAPNEST」のギタリストであり、かつて「BLACK STONES」のベーシストとして大崎ナナと深く愛し合った本城蓮の死である。交通事故というあまりにも悲劇的な形で訪れた彼の最期は、登場人物たちの人生を根底から砕き割った。
ナナの20歳の誕生日直前、吹雪の故郷で事故に遭った蓮。その手首に刻まれたトラカンの刺青と、最期まで大事に抱えていたナナへのプレゼント。あまりにも酷な展開は、作品の持つリアルな残酷さを極限まで引き上げた。この事件を境に物語の針は狂い始め、BLACK STONESのメジャーデビューという光の影で、壊れていく登場人物たちの精神状態が痛切に描かれたのだった。