彼の代名詞でもある夢、それがヴァイオリン職人だ。15歳という若さでイタリアのクレモナへ留学する決断力は、アニメーションの枠組みを大きく踏み出していた。では、このキャラクターには実在のモデルが存在したのだろうか。
原作漫画(柊あおい作)では、聖司の目指す道は「画家」であった。それを映画化にあたり、伝統工芸の世界へ没頭する職人志向へと変更した経緯がある。制作陣は実在の若き職人や楽器工房へ綿密な取材を行い、弦楽器を作る指先の動きや木屑の匂いまでスクリーンに描き出した。妥協を許さないものづくりの姿勢は、ジブリの制作現場そのものの投影でもある。