十割そばを取り巻く言説の中で、最も慎重にファクトチェックを行わなければならないのが「グルテンフリー」と「アレルギー対策」の境界線です。原料としてのそば粉には小麦グルテンが含まれていないため、十割そばは原理的にはグルテンフリー食品に該当します。腸内環境の改善やグルテン不耐症のケアとして選ばれるのは理にかなっています。
しかし、重篤な小麦アレルギーを持つ人にとっては命に関わる落とし穴が存在します。一般的な製麺工場では、十割そばだけでなく二八そばやうどん、そうめんなどを同一のラインや同じ施設内で製造しているケースが少なくありません。空気中を舞う微量な小麦粉の混入、いわゆる「コンタミネーション(微量混入)」のリスクが常に潜んでいます。
アレルギー疾患を持つ方が市販の乾麺を購入する際は、単にパッケージ表面の「十割」という文字を見るだけでなく、裏面の一括表示欄にある「本品製造工場では小麦を含む製品を生産しています」という注意喚起表示を必ず確認しなければなりません。近年ではアレルギー対応専用ラインで製造された完全隔離製品も登場していますが、確認を怠ることは極めて危険です。また、そば自体が強力なアレルゲン(特定原材料7品目)である事実も決して忘れてはなりません。