うるう年生まれを巡る最大の都市伝説として、「2月29日に生まれた赤ちゃんは、不憫だからという理由で戸籍上2月28日や3月1日に変更して届け出ができる」という噂がある。しかし、閏日生まれ戸籍上の誕生日真相を検証すると、現代の日本の行政制度においてそのような日付変更は100%不可能である。
戸籍法第49条では、出生届を提出する際、出産に立ち会った医師や助産師が作成する「出生証明書」の原本添付が義務付けられている。出生証明書には、正確な出生年月日および時刻が分単位で記載されており、届出人が勝手に「2月28日」や「3月1日」と偽って記入した届書を提出すれば、虚偽届出として受理されないばかりか、刑法第157条の公正証書原本不実記載罪や戸籍法上の過料に問われる対象となる。
では、なぜこのような俗説が全国で語り継がれているのか。その背景には、昭和30年代以前の日本社会における出産事情が深く関係している。当時は自宅出産が主流であり、医師の立ち会いではなく地域の産婆や家族が出産を介助するケースも多かった。さらに当時の行政窓口の確認体制が緩やかだったことも手伝い、「4年に1度しか誕生日が来ないのは子どもが可哀想だ」「就学や徴兵の都合を考慮したい」といった親心や地域の忖度によって、出生日を数日ずらして役場に届け出る実例が実在したのである。
高齢世代の体験談として「うちの祖父は実はうるう日生まれだったが戸籍は3月1日になっている」といった話がリアルに語られるのはこのためだ。しかし、医療機関と行政のシステムが厳密に連携された現代においては、完全な制度的誤解であり、いかなる理由があろうとも「2月29日」が正式な戸籍上の生年月日として刻まれる。