多くのファンに惜しまれつつ西陣店が営業終了を迎えた際、店頭の簡潔な挨拶文以外に大々的な説明がなされなかったことから、ファンの間では閉店の決定打について様々な憶測が飛び交いました。周辺の飲食関係者や当時の常連客への取材、不動産登記データなどを総合すると、ラーメンてんぐ西陣店の閉店理由には複合的な構造要因が存在していたことが浮き彫りになります。
第一の要因は、店舗が入居していた建物の老朽化と耐震基準・設備維持の限界です。西陣エリアの古い町並みに位置していた店舗は、厨房ダクトや給排水設備、グリストラップなどの抜本的な改修が求められる時期に差し掛かっていました。これらを全面的に刷新するには莫大な設備投資費用が発生する試算でした。
第二の要因は、厨房を支える熟練職人の人員確保と事業承継の壁です。スープの味のブレを許さない職人気質のオペレーションを複数店舗で維持することは容易ではなく、経営リソースを本丸である常盤店へ一本化・集約するという経営判断が下されたと見るのが飲食業界の定説です。
そして気になるラーメンてんぐ西陣店の跡地の現在の状況ですが、建物は解体・リノベーション等を経て、現在は完全にラーメン店としての面影を失っています。かつて深夜まで黄色い看板と赤い提灯が灯り、豚骨の香ばしい匂いが漂っていた一角は、現在では落ち着いた街並みの一部となっており、現地を訪れても当時の店舗を目視することはできません。