バナーに書かれた悲壮感漂う文面を読むと、「寄付が集まらなければWikipediaのサーバーが止まってしまうのではないか」と心配する読者もいるかもしれません。しかし、公開されている公式財務諸表(米国連邦税務申告書 Form 990および監査済み財務報告書)を精査すると、まったく異なる実態が浮かび上がってきます。
結論から言えば、Wikipediaが財政難で閉鎖寸前というのは完全な誤解です。運営母体である「ウィキメディア財団(Wikimedia Foundation)」の財務状況は極めて健全であり、莫大な余剰資金を保有しています。
公式発表資料および財務報告書を分析すると明らかなように、私たちが閲覧しているWikipediaのサーバーを維持するための実費は、全体の予算から見ればごくわずかです。集まった寄付金の大半は、財団職員の人件費、世界各地での教育・コミュニティ支援プログラム、外部プロジェクトへの助成金、そして将来のための基金積み立てに充てられています。
創設者のジミー・ウェールズや財団幹部は「知の自由な共有を永続させるための長期投資」と説明していますが、「明日のサーバー代にも困っている」かのようなプロパガンダ的メッセージと、現実の巨大な財務基盤との間には明らかなギャップが存在します。これこそが、ネット上で「騙されたような気分になる」「財政難は嘘ではないか」と批判される核心的な理由です。