ネット上の感想やショート動画の切り抜きなどでは、ジルベールはしばしば「小悪魔系男子」「愛されヒモ男」といった分かりやすい記号で消費されがちです。しかし、これは作品の全体像や磯村勇斗の意図した人物造形から見ると、重大な誤解と言わざるを得ません。
原作およびドラマを詳細に検証すると、航は決して怠惰なだけの人間ではありません。デイトレーダーとして自立した経済基盤を持ち、小日向のお金目当てで一緒にいるわけではないという自負を明確に持っています。他者に依存しているように見えて、経済的・精神的な自立心を強く意識しているからこそ、小日向の前でだけ見せる「甘え」に特別な価値が生まれます。
この二面性を理解せずに単なる小悪魔として捉えてしまうと、作品が描こうとしている「同性カップルの現実的な暮らしと尊厳」という重要なテーマ性を見落とすことになります。
【プロの視点】本作を深く味わえる人・好みが分かれる人の判断基準
『きのう何食べた?』におけるジルベールと小日向のパートは、視聴者の価値観によって受け止め方が分かれる側面を持っています。
【深く楽しめる人】
- 人間の多面性や、言葉の裏にある不器用な愛情表現を読み取るのが好きな人
- 山本耕史と磯村勇斗という実力派俳優同士の、アドリブ感あふれるハイレベルな芝居の応酬を楽しみたい人
- 日常の食卓を通して描かれる人間関係の機微に癒やしを求める人
【好みが分かれる可能性がある人】
- 登場人物に対して常に礼儀正しさや道徳的な完璧さを求める人(航の毒舌や奔放な態度にストレスを感じる場合がある)
- テンポの速い劇的な事件やサスペンス展開を期待している人