物語のクライマックスを牽引したのは、相河一輝の身の回りの世話を焼き続けてきた家政婦・山田妙子(戸田恵子)にまつわる重大な伏線でした。第9話において、山田さんがかつて一輝を産み落とし、幼少期に手放した実の母親であることが明かされます。
幼い頃の一輝は周囲と同じ行動が取れず、学校や社会に適応できない我が子を前に、山田さんは深い苦悩の末に母親としての役割を放棄してしまっていました。しかし大人になった一輝は、祖父・相河義高(田中泯)の教えや日々の生き物との対話を通じて、独自の境地へと至っていました。母の告白を受けた一輝は、彼女を責めるどころか、彼女が作るピリ辛キュウリの味や注がれてきた日々の気遣いに感謝し、「山田さんは山田さんで、僕のお母さんです」と優しく微笑みかけます。罪悪感に苛まれ続けた母親の心を救済したこの和解シーンは、本作屈指の感涙ポイントとして語り草になっています。
そして迎えた最終回、一輝の決断は大学関係者や視聴者の予想を大きく覆すものでした。鮫島教授(小林薫)から准教授昇格や海外フィールドワークの打診を受ける中、一輝が目指した新たなフロンティアは「宇宙」でした。ロシアの宇宙飛行士訓練センターへと旅立つことを告げた一輝は、周囲にこう語りかけます。
「ここにいても宇宙にいても、どこにいても僕は僕です」
一輝に振り回され、時に苛立ちをぶつけていた同僚の樫野木准教授(要潤)も、娘との関係を見つめ直して父親としての温もりを取り戻します。一輝という強烈な光に照らされた周囲の人間が、誰一人として依存することなく自らの足で歩き出す姿を描き切り、物語は幕を閉じました。