SNSやオンライン掲示板を調査すると、カスタマーサポートの0570窓口に対する悲痛な叫びが日常的に投稿されています。
「航空券の変更手続きでナビダイヤルに発信したところ、『ただいま混み合っております』の案内と音楽が延々と流れ、オペレーターと会話できたのは開始から42分後。通話料だけで1,400円近く請求された」「チケットの当選確認でガイダンスに従いボタンを押していただけで数百円が消えた」といった証言は氷山の一角です。
ここで見落とせないのが、行動経済学における「サンクコスト効果(埋没費用効果)」の心理トラップです。利用者は電話をかけて5分が経過し、「すでに160円以上かかっている」と認識した段階で、「今電話を切ってしまったら、これまでの待ち時間と通話料がすべて無駄になる」という心理に囚われます。その結果、10分、20分と通話を維持し続け、最終的に1,000円を超える通話料を支払わされる事態へと追い込まれていきます。
なぜ企業側は、発信者にこれほどの金銭的・心理的負担を強いるナビダイヤルを導入し続けるのでしょうか。その背景には、コールセンター運営における冷徹な経済合理性が存在します。
かつて主流だった「0120(フリーダイヤル)」は、通話料の全額を着信企業が負担していました。そのため、「些細なクレームで何時間も説教を続ける悪質クレーマー」や「マニュアルを読めば解決する質問を頻繁にかける利用者」によって、企業の通信費予算と人員リソースが激しく圧迫されていたという現場の実情があります。0570を導入して発信者側に経済的負担を求めることで、不必要な入電を抑制する「フィルター(金銭的参入障壁)」として機能させているのが企業の偽らざる狙いです。