一連の刑事事件化や経営危機を受け、理事会は解任・刷新の道をたどりました。外部の有識者や臨床現場の意見を反映した新執行部が発足し、2026年現在、大学および本院は「信頼回復と経営健全化に向けた抜本的再建ロードマップ」の実行段階にあります。
現在、東京女子医科大学病院が最優先で取り組んでいるのは、流出した専門医の再確保と、診療部門のスクラップ・アンド・ビルドです。看板診療科である心臓血管外科は、昭和の黎明期から榊原仟医師らが築き上げた心臓病治療の総本山として数千件規模の手術実績を誇ってきましたが、医師離職の痛手を受けた後、他大学医局からの招聘や国内トップクラスの外部専門医とのアライアンスを強化し、手術体制の復調を図っています。
また、東京都足立区へ移転・開院した「東京女子医科大学附属足立医療センター」や、千葉県の「八千代医療センター」との機能分担も明確化されました。本院(新宿区若松町)は特定機能病院として難治性疾患・がんゲノム・高度心臓血管治療にリソースを集中させ、一般救急や地域急性期は足立や八千代と密接に連携するネットワークを構築しています。
老朽化が進んでいた新宿本院の施設については、建て替え計画の抜本的な見直しが図られました。当初の過大な投資計画を修正し、身の丈に合ったコンパクトかつ最先端の免震・感染症対応設備を備えた「新病院構想」として着工・設計が進められており、財務規律を保ちながら2026年代後半の全面完成を目指す現実的なスケジュールへと移行しています。