大将軍八神社を語る上で欠かせない最大の宝庫が、境内奥に建つ収蔵庫「方徳殿(ほうとくでん)」です。2階の展示室に足を踏み入れると、薄暗い空間の中に浮かび上がる無数の神像に圧倒されます。
安置されているのは、平安時代中期から鎌倉時代にかけて彫られた木造大将軍神像など計80躯。そのうち79躯が国の重要文化財に指定されており、これほどの規模の方位神像群が一箇所に残されている例は全国でも他にありません。
甲冑を身にまとい憤怒の形相を浮かべる武官像、静かに座す文官像、童子像などが、天の星座の配置を模した「立体星曼荼羅」のように整然と並ぶ光景は圧巻の一言です。平安貴族たちがどれほど真剣に星の巡りと方位の吉凶に向き合っていたかを肌で体感できる空間といえます。
方徳殿の拝観は通常、春と秋の特別公開期間を除き、事前予約制となっています。拝観料(大人500円)が必要となりますが、京都の深層史に触れるなら見逃せないスポットです。