「青色の保険証は大企業勤務の高年収」「ピンクは中小企業」「緑やオレンジは低所得」――こうした俗説がネット上でまことしやかに語られてきた背景には、人々の根深い属性意識があります。しかし、結論から申し上げれば、健康保険証の色と年収格差には直接的な因果関係は存在しません。
厚生労働省の管轄下にある公的医療保険制度において、加入者の所得や年収額に応じてカードの色を塗り分けるような運用基準は一切定められていません。年収2,000万円を超える上場企業の役員であっても薄いピンク色のカードを持つケースがあれば、新卒1年目の社員が鮮やかな水色のカードを持つケースもあります。健康保険証のランク都市伝説は、一部の偶然の一致や主観的な偏見がSNSで増幅された結果に過ぎません。
では、なぜこれほど強固な「ステータス説」が定着してしまったのでしょうか。それは、後述する保険者の種類(大企業の健保組合、公務員の共済組合、中小企業の協会けんぽ、自営業等の国民健康保険)によって加入層の平均年収や雇用形態に傾向があり、それらの団体が採用していたカードカラーが断片的なイメージとして結びついてしまったためです。