政治家の国籍や出自をめぐる議論を正確に理解するためには、まず日本国憲法と公職選挙法が定める被選挙権の基本構造を整理しておく必要があります。 日本国憲法第15条第1項は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めており、公職に就く権利は日本国民に専属するものと規定されています。これを受けた公職選挙法第10条では、衆議院議員および参議院議員の被選挙権要件として、それぞれ「日本国民で年齢満25年以上」「日本国民で年齢満30年以上」という年齢および国籍の規定を設けています。 ここで重要なのは、法律上の「日本国民」には、出生によって日本国籍を取得した者だけでなく、国籍法に基づいて法務大臣の許可を得て日本国籍を取得(帰化)した者も等しく含まれるという点です。 【国籍法第5条が定める普通帰化の主な許可条件】
- 住所条件:引き続き5年以上日本に住所を有すること
- 能力条件:18歳以上で本国法によって行為能力を有すること
- 素行条件:素行が善良であること(犯罪歴、納税状況、社会保険加入などを審査)
- 生計条件:自己または生計を一にする配偶者等の資産・技能で生計を営めること
- 喪失条件:国籍を有せず、または日本の国籍取得によってその国籍を失うべきこと
- 思想要件:日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張する者でないこと
憲法第14条第1項が「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と厳格に定めているため、帰化によって日本国民となった人物に対し、公職選挙法上で被選挙権を制限したり、特別な待機期間を設けたりすることは違憲となります。法的には、帰化が正式に完了した瞬間から、生来の日本人と全く同じ条件で立候補する権利が付与されます。