破局が公表された際、SNSのコメント欄を席巻するのが「最初からビジネスカップルだったのではないか」という痛烈な疑惑です。演出された仲良しアピール、企業案件の消化、計画的な炎上商法といったフレーズが飛び交い、視聴者が抱いていた純粋な好意は一転して騙されたという怒りに変わることがあります。しかし、取材を通じて見えてきた現実は、ネット上の単純な二項対立(真実の愛か、金儲けの偽装か)とは大きく異なります。
関係者への聞き取りによって判明した実態は、「最初は本物の恋愛だったが、途中でビジネスにならざるを得なかった」というグラデーションの存在です。
交際初期は純粋な好意から動画投稿をスタートしたものの、月間数百万円から数千万円規模の広告収入やタイアップ料が口座に振り込まれるようになると、2人の関係は否応なく「共同事業主」へと変質します。専属の編集スタッフやカメラマンを雇い、法人登記を済ませた段階で、2人は「別れたくても別れられない雇用主」へと縛り付けられます。
「もう気持ちは冷めきっているのに、翌月には大手飲料メーカーとのタイアップ動画の納品が控えている。別れ話を切り出すことは、数千万円の違約金発生と従業員の解雇を意味していた。だからカメラの前でだけ手を繋ぎ、笑顔を作った。あれをビジネスカップルと呼ぶなら否定はできないが、最初から偽物だったわけではない」
これが現場で告白された冷酷なリアリティです。ネット上での「完全なやらせ」というレッテル貼りは、クリエイターたちが直面していた構造的な逃げ場のなさを看過していると言わざるを得ません。