北村匠海の俳優としてのキャリアは、一過性のブームで築かれたものではありません。小学3年生(9歳)のときにスカウトされ、CM出演で芸能界入りを果たした子役時代の経歴から始まります。2008年のドラマ『太陽と海の教室』や映画『DIVE!!』への出演をはじめ、映画『重力ピエロ』や『TAJOMARU』では、主演俳優(小栗旬ら)の幼少期役を次々と演じ、制作陣から「表情だけで感情を語れる子役」として重宝されていました。
大きな転機となったのは、2017年公開の映画『君の膵臓をたべたい』です。重い病を抱えるヒロインに振り回されながらも心を通わせていく内向的な「僕」を繊細に体現し、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。派手なセリフ回しに頼らず、微細な視線の揺らぎや息遣いで観客の感情を揺さぶる「受けの芝居」が高く評価され、一躍トップランナーへと躍り出ました。
その実力をエンターテインメント大作で遺憾なく発揮したのが、映画『東京リベンジャーズ』シリーズの花垣武道(タケミチ)役です。タイムリープを繰り返しながら、ボロボロになりつつも仲間を救うために立ち上がる泥臭い主人公を熱演。興行収入数十億円規模のメガヒットを牽引した原動力は、彼が醸し出す「決して特別ではない人間が絞り出す勇気」の説得力にありました。映画監督や演出家たちも「画面に映るだけで物語の湿度を上げられる稀有な表現者」と口を揃えており、その演技力の評判は同世代の中でも突出した安定感を誇っています。