割りピンを安全かつ確実に機能させる第一歩は、取り付けるボルト穴や相手材の仕様に合致した製品を正しく選び出す作業から始まります。日本国内において工業用として流通する割りピンの多くは、JIS B 1351(割りピン規格)によって形状や寸法公差、素材特性が厳格に規定されています。半円形の断面を持つ金属線を背中合わせに折り曲げて頭部にループ(目玉)を形成した構造となっており、二本の足のうち一方をあえて長く設計することで、作業者が指先や工具で先端を掴んで曲げやすくする工夫が施されています。
割りピンサイズ選び方において致命的なミスとなりやすいのが、「ピンの呼び径」と「相手側の貫通穴径」の混同です。JIS規格上の呼び径は、挿入される穴の直径(基準寸法)に対応して設計されています。例えば、呼び径3.2mmの割りピンの場合、実際のピンの外径公差は2.9mm〜3.0mm前後とわずかに細く作られており、相手側の3.2mm穴へ引っ掛かりなくスムーズに貫通できるように配慮されています。穴径に対して細すぎるピンを選定してしまうと、振動によってピンが穴の中で激しく踊り、せん断疲労を起こして早期破断に至るリスクが跳ね上がります。
上の表が示す通り、緩み止めピン種類と用途は目的によって明確に住み分けられています。日常的なメンテナンスで頻繁に取り外す箇所には再利用可能なRピンが適していますが、走行中の振動や遠心力が絶え間なく作用するアクスルシャフト(車軸)やステアリングロッドには、物理的に先端を曲げてロックする割りピン以外の代替は認められません。命を預ける重要保安箇所には、必ずJIS規格を満たしたスチール(三価クロメートメッキ処理)や耐食性に優れるステンレス(SUS304)の正規寸法品を選択しなければなりません。