『ジョジョの奇妙な冒険 Part5 黄金の風』の戦闘シーンを永遠の名場面たらしめているのが、決着の瞬間に放たれるイタリア語の決め台詞です。日本語のオノマトペや感情の高ぶりと、ラテン語直系のリズミカルな音感が見事に調和しています。
作中で特に象徴的な名言について、その正確な語義と劇中での演出効果を検証します。
1. ブチャラティ:「アリーヴェデルチ(Arrivederci)」
チームリーダーであるブローノ・ブチャラティがスタンド「スティッキィ・フィンガーズ」のラッシュを決める際の決め台詞「アリーヴェデルチ(さよならだ)」。イタリア語の「Arrivederci」は、「a(〜へ)」+「rivedere(再会する)」+「ci(私たち)」が合体した言葉で、本来は「また逢う日まで」「さようなら」という日常的かつ丁寧な別れの挨拶です。本来ならば温かみのあるこの挨拶を、二度と再会することのない「死の宣告(永遠の別れ)」として敵に叩きつける点に、ブチャラティという男の覚悟と冷徹なまでの決断力が凝縮されています。
2. ナランチャ・ギルガ:「ボラーレ・ヴィーア(Volare via)」
ナランチャが操る飛行機型スタンド「エアロスミス」の乱射とともに叫ぶ「ボラボラボラボラ……ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)」。イタリア語の動詞「volare(飛ぶ)」と副詞「via(離れて、去って)」が組み合わさった表現で、英語の「Fly away」に相当します。「ここから飛び去れ」「消え失せろ」というニュアンスを持ち、戦闘機の特性とナランチャの剥き出しの闘争心がストレートに反映された名セリフです。
3. 組織名:「パッショーネ(Passione)」
物語の主軸となる巨大マフィア組織の名前「パッショーネ」は、イタリア語で「情熱(Passion)」を意味します。さらにキリスト教圏においては「キリストの受難」を指す重層的な単語でもあり、自らの運命に立ち向かい苦難を乗り越えようとするジョルノたちの過酷な旅路そのものを暗示しています。
4. 主人公:「ジョルノ・ジョバァーナ(Giorno Giovanna)」
主人公ジョルノの名にある「Giorno」は、イタリア語で「日」「昼」「太陽の光」を意味します(「Buongiorno(こんにちは)」の語幹)。DIO(イタリア語で「神」を意味する単語と同音)の血を引きながらも、暗黒街に希望の光をもたらす「黄金の精神」を象徴するネーミングといえます。