会陰切開の抜糸は痛い?溶ける糸でも処置する真相と産後ケア【2026】

会陰切開の抜糸は痛い?溶ける糸でも処置する真相と産後ケア【2026】

会陰切開の抜糸は痛い?溶ける糸でも処置する真相と産後ケア【2026】とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。

「自然に溶けて消える糸を使っているのに、なぜわざわざ痛い思いをして抜糸しなければならないのか」という疑問は、産後のママたちが最も強く抱く不信感や恐怖の一つです。しかし、産婦人科の医療現場において行われる抜糸には、極めて合理的かつ患者のQOL(生活の質)を高めるための医学的根拠が存在します。

仙台赤十字病院などの産婦人科公式情報によると、経腟分娩時に行われる会陰切開や会陰裂傷の縫合には、一般的に吸収糸(きゅうしゅうし)と呼ばれる生体内で自然に分解・吸収される医療用縫合糸が使用されます。この吸収糸が完全に組織に吸収されるまでには、通常1か月から2か月程度の期間を要します。つまり、産後4日〜6日目の退院時点では、糸は溶けるどころか最も強度を保った状態で皮膚や皮下組織を締め付けているのです。

分娩直後の会陰部は、赤ちゃんの頭が通過したことによる強い圧迫と組織損傷により、強度のむくみ(浮腫)が生じています。出産時に薄さ数ミリにまで引き延ばされた会陰部を約3cm切開・縫合した直後はパンパンに腫れ上がっていますが、産後2〜3日を経て回復に向かうと、急速にむくみが引いていきます。ここで問題となるのが「糸の張力(テンション)」です。

組織の体積が縮む一方で、結ばれた糸の長さは変わりません。その結果、皮膚の表面に残された糸の結び目がピンと張り詰め、傷口周辺をギュッと締め上げるような強烈な引きつれ感やチクチクとした針で刺されるような痛みを引き起こします。傷口自体の癒合(くっつくこと)は産後数日で急速に進むため、退院診察の段階で医師が「皮膚の表面はすでにくっついており、むしろ糸が皮膚を強く引っ張って苦痛の原因になっている」と判断した場合、あえて表面の結び目を切って抜き去る処置が選択されます。

要するに、退院診察での抜糸は「傷に異常があるから」ではなく、「退院後の育児や授乳、歩行時の痛みを劇的に減らすための積極的な除痛アプローチ」です。この意図が事前に十分説明されないまま処置台で突然ハサミを向けられることが、産後ママの恐怖や混乱を招く主因となっています。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。