野球の伝統的な攻防を覆してまで申告敬遠が導入された背景には、国際的な野球界の構造改革が深く関係しています。決定的な理由は主に「試合時間短縮(ペース・オブ・プレイの推進)」と「投手の肩・肘の保護」の2点に集約されます。
2010年代以降、世界のスポーツビジネスにおいて試合時間の長期化は深刻な課題とされてきました。他のエンターテインメントや短時間コンテンツとの競合が進むなか、4球を投げるだけで約1分〜1分30秒を要していた従来の敬遠は、「無駄なインターバル」として見直しの対象となったのです。
また、投手の球数制限が議論される現代において、勝負を避ける打席で無駄に4球を消費させることは、投手の故障リスク管理の観点からも非合理的であると判断されました。
プロ野球(NPB)や高校野球への導入タイムラインは以下の通りです。
- 2017年:メジャーリーグ(MLB)が先行導入(コミッショナー主導によるスピードアップ施策の一環)
- 2018年:日本のプロ野球(NPB)が導入(セ・パ両リーグおよびオープン戦から一斉適用)
- 2020年:日本学生野球協会・高野連が高校野球および大学野球へ導入(同年の春の選抜大会から正式運用開始)
MLBでの導入を皮切りに、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催の国際大会や日本国内のアマチュア球界に至るまで、急速に標準ルールとして定着しました。