山岳鉄道としての豊肥本線のハイライトといえば、阿蘇外輪山の険しい急崖を克服するために設けられた「立野駅の三段式スイッチバック」です。立野駅と赤水駅の間には、鉄道にとって極めて過酷な最大33.3パーミル(1000メートルの水平移動に対して33.3メートル登る傾斜)の急勾配が存在します。列車はいったん立野駅に進入した後、進行方向を真逆に変えて引上線へと登り、そこでもう一度進行方向を戻して阿蘇カルデラ内部へと進行します。
このスイッチバックの途上で車窓に広がる立野峡谷の渓谷美や、2023年夏に全面復旧を果たした南阿蘇鉄道の高森線が分岐していく光景は、鉄道ファンのみならず一般の観光客をも圧倒します。運転士と車掌が車両内を移動して前後を入れ替える独特の動作や、列車がジグザグに高度を稼いでいく独特の浮遊感は、この地形と先人の知恵が作り出した唯一無二のエンターテインメントといえます。
この風光明媚な区間を走る観光列車として絶大な人気を誇るのが、特急「あそぼーい!」です。キハ183系気動車を大改造した4両編成の車内には、マスコットキャラクター「くろちゃん」のイラストが至る所に散りばめられ、木製ボールプールを備えたプレイルームや、親子で仲良く並んで座れる「白黒シート」など、徹底したファミリー向け設計が施されています。ネット上の口コミや乗車レビューを検証すると、以下のような生の声が数多く寄せられています。
「先頭車のパノラマシートから見上げる阿蘇五岳の迫力は圧巻。子ども向けかと思いきや、大人の鉄道旅としても満足度が非常に高い」「カフェカウンターで販売される特製プリンや阿蘇のクラフトビールを味わいながらのんびりカルデラを眺める時間は格別」という高評価が目立ちます。一方で、「週末や大型連休は指定席が発売開始直後に売り切れるため、予約のハードルが高い」「天候不良で阿蘇山に濃霧がかかるとパノラマの魅力が半減する」といった現実的な指摘も見られます。
また、大分・別府と熊本を長年結び続ける特急「九州横断特急」も忘れてはなりません。深紅の車体に身を包んだキハ185系気動車は、落ち着いた木目調のインテリアと実用的な走行性能を兼ね備え、阿蘇観光と都市間ビジネス移動の双方を支える「頼れるベテラン」として確固たる地位を維持しています。