ササニシキのルーツを辿ると、東北の稲作改良にかける執念のドラマに行き着く。1963年(昭和38年)、宮城県農業試験場古川分場で誕生したこの品種は、正式名称「水稲農林100号」として登録された。
交配親となったのは、食味に優れるササシグレと、耐倒伏性に定評のあったハツニシキ。両者の美質を受け継ぎ、誕生直後から東北の冷涼な気候に適応した優良品種として脚光を浴びた。宮城の肥沃な大地と清冽な水に育まれ、瞬く間に全国へとその名を轟かせていく。
だが、栄光の歴史は1993年の大冷害で急転する。いもち病や低温に弱いササニシキは壊滅的な打撃を受け、多くの生産者が耐冷性に優れるひとめぼれ等へと作付けを切り替えた。JA全農みやぎをはじめとする関係機関も品種転換を進め、ササニシキのシェアは急激に落ち込んでいった。それでも「この米でなければ出せない味がある」と信じた少数の篤農家たちが種を守り続け、今日の復活劇へと繋げている。