さやかの惨死は、単なるショッキングな演出ではない。物語の構造上、完璧な理由が存在する。それは「兜甲児の絶望」こそが、マジンガーZを魔神ZEROへと完全覚醒させるラストピースだからだ。
マジンガーZに秘められた7つの魔神パワー。その最終段階を発動させるには、操縦者である甲児が正気を失い、世界への絶望に染まりきる必要があった。ZEROにとって、甲児が最も愛する存在であるさやかの死亡は、彼の心を破壊するための最も効率的な手段だったのである。愛する者を守るために戦うヒーローが、愛する者を失うことで世界を滅ぼす魔王に変貌する。この皮肉な因果関係こそが、本作を屈指のダークSFへと押し上げた要因と言える。