国が脱病院化の柱として推進してきたのが、住み慣れた地域で医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築だった。自宅で最期を迎える「在宅医療」の普及が叫ばれ、訪問看護ステーションやケアマネジャーの連携強化が進められてきた。だが、現場の現実は甘くない。
介護職員の深刻な人材不足と低賃金問題は、どれほど優れたシステム設計であっても実行力を削ぎ落とす。訪問介護事業所の倒産件数は過去最多レベルを記録し、サービスを受けたくても事業所が見つからない「介護難民」が都市部で続出している。制度の理念と、それを支える労働力の枯渇というミスマッチが、地域コミュニティを疲弊させているのが実情だ。