スマートに、器用に役をこなす声優が重宝される現代において、福西はどちらかと言えば「不器用なほどに愚直」なタイプに見える。台本を読み込み、キャラクターのバックボーンを私生活のレベルまで想像し、自分自身をその人物の器として差し出す。その作業は、精神的にも肉体的にも消耗が激しいはずだ。
しかし、その泥臭さこそが彼の最大の魅力であり、他の誰にも真似できないオリジナリティとなっている。スマートな現代社会だからこそ、私たちは彼の演じるキャラクターが流す泥臭い汗や、必死の叫びに強く惹かれるのだろう。彼が声を吹き込むことで、二次元のキャラクターは確かにそこに「存在する」人間となる。