ドライカレーの起源を探ると、驚くべきことに本場インドではなく、大正時代の日本の海の上にたどり着く。その舞台となったのが、当時世界の海原を航海していた日本郵船の欧州航路船だ。
当時、客船「三島丸」プロジェクトの厨房を仕切っていた料理長・武内勝宮(たけうち かつみや)氏が、激しく揺れる船内でも乗客がこぼさずに食べられるカレー料理として考案したのが始まりとされる。汁気を限界まで切り、コクのあるひき肉とスパイスを米飯に合わせて提供したこの料理は、瞬く間に乗客たちの絶賛を浴びた。
船上の工夫から生まれたこの料理は、後に陸の洋食店へと伝播し、日本独特の「ドライカレー」というジャンルを確立することになる。つまり、ドライカレーは日本の気候風土と丁寧な洋食文化が生み出した、純国産の創作料理なのだ。