義歯技工所を営む裕福な中年男アルマンドを演じたのは、チリを代表する名優アルフレド・カストロ(Alfredo Castro)だ。パブロ・ラライン監督作品の常連としても知られるカストロは、抑制された表情の奥に底知れぬ狂気と哀愁を宿らせ、映画史に残る怪演を見せつけた。
アルマンドは街の青年たちに金を払い、自宅へ連れ込んでは「触れることなく、ただ遠くから眺める」ことだけを要求する。この特異な性的嗜好とトラウマを抱えた男の前に現れるのが、街の不良少年エルダーだ。演じたルイス・シルバは、オーディションで数千人の中から抜擢された当時正真正銘のストリート出身。虚勢と脆さが同居するリアルな佇まいは、カストロの静かな狂気と見事な化学反応を起こした。