なぜこれほどまでに、裁判所の駐車場は「行っても停められない」事態に陥るのでしょうか。裁判所の現場を丹念に取材すると、民間施設とは根本的に異なる3つの構造的障壁が浮かび上がってきます。
第1の理由は、枠の大半が公用車・職員・関係者で占有されている点です。家庭裁判所の敷地内には、家事調停委員や参与員、家庭裁判所調査官の移動用車両、護送関連車両などの専用スペースが優先的に割り振られています。地方都市の支部であっても敷地全体の半分以上が関係者用であり、来庁者に開放されているのはわずか数台〜十数台分という庁舎が珍しくありません。
第2の理由は、滞在時間の異常な長さによる回転率の低さです。市役所や郵便局であれば、書類の提出や受取で滞在時間は15〜30分程度、長くても1時間前後で車両が入れ替わります。一方、家庭裁判所で行われる家事調停(離婚、婚姻費用分担、遺産分割など)は、1回の期日につき通常2時間から3時間を要します。複雑な案件や合意形成が難航した場合は、午前から午後にかけて半日近く拘束されるケースも日常茶飯事です。つまり、朝一番の枠が埋まった瞬間、昼過ぎまで1台も出庫しないという極端な膠着状態が発生します。
第3の理由は、午前9時30分〜10時に集中する期日指定のピークです。裁判所の開廷・調停開始時刻は午前10時に設定されることが多く、9時30分を過ぎると出頭者が一斉に押し寄せます。わずか数台の一般枠は一瞬で埋まり、敷地入口で守衛から進入を断られた車が路上へ溢れ出し、混雑状況をさらに悪化させる悪循環が日常的に繰り返されています。