北欧の食卓を語るうえで外せないのが、胚芽やブランを豊富に含むライ麦パンの存在だ。小麦粉主体のパンとは異なり、食物繊維やビタミン、ミネラルが凝縮されたその生地は、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品としても高い評価を得ている。
代表格とも言えるのが、フィンランドで愛され続ける円盤状のルイスレイパだ。中央に穴が開いた独特のフォルムは、かつて天井の棒に吊るして長期保存していた名残りである。しっかりとした噛みごたえとサワー種由来の心地よい酸味が、噛むほどに深い旨味を引き出す。また、ミルク粥を繊細なライ麦生地で包み込んで焼き上げるカレリアンパイなど、素朴でありながら滋味深い伝統の味が、現代の健康志向な人々の心をとらえて離さない。