日本の家庭料理において混同されがちなのが、「ドライカレー」と「キーマカレー」の区別です。SNSや知恵袋などでも「両者は名前が違うだけで同じ料理なのか」という疑問が頻繁に見受けられますが、食文化史および調理技法において明確な違いが存在します。
まず「キーマ(Keema)」とはヒンディー語で「細切れ肉」や「ひき肉」を意味する言葉であり、インド料理におけるキーマカレーは、ひき肉を使用したスパイス煮込み料理全般を指します。水分量は比較的多く、トマトやヨーグルト、スパイスを用いてグレイビー(ソース)状に仕上げるのが特徴です。
一方、日本で定着したドライカレーは、大正時代に日本郵船の客船「三島丸」で提供されたものが発祥とされており、水分を極限まで飛ばしたひき肉炒めタイプ、あるいはカレー粉と一緒に炒めたピラフ・炒飯スタイルの2系統に分類されます。家庭で作るドライカレーは、具材の旨味を凝縮させ、汁気を出さずにご飯の上にトッピングすることを前提とした日本独自の進化を遂げた洋食メニューです。