京料理の根幹をなす出汁の引き方から、季節の移ろいを表現する八寸の彩りまで、竹茂楼の料理には寸分の隙もない。利尻昆布と厳選された鰹節から丁寧に抽出される一番出汁は、素材本来の滋味を極限まで引き立てる。淡泊でありながら奥深い余韻を残す椀物は、まさに日本の食文化の到達点だ。
器の選定にも妥協はない。魯山人や現代の名工が手掛けた焼き物、漆器が、料理の美しさをさらに際立たせる。料理人と客が器を通じて無言の対話を交わす瞬間こそ、高級料亭における醍醐味。盛り付けの立体感や色彩のグラデーションは、一皿ごとに完結した絵画のような風情を漂わせる。