山内選手が黒い顔面保護マスクを着けてコートに足を踏み入れた瞬間、SNSやアリーナのファンからは「まるでバットマンのようで格好いい」「オーラが凄い」とポジティブな驚きをもって迎えられました。ビジュアル面でのインパクトは凄まじく、海外ファンからも「リアル・スーパーヒーロー」と称賛される事態へと発展しました。
しかし、スポットライトの裏側にある現場の現実は極めて過酷でした。当時の特番インタビューや関係者の証言によると、本人は「格好良さなど意識する余裕は一切なく、視界の制限と呼吸のしづらさとの戦いだった」と吐露しています。
バレーボールのミドルブロッカーは、セッターの指先から放たれるトスの軌道をミリ秒単位で見極め、さらに相手スパイカーの助走角度を周辺視野で捉え続けなければなりません。黒いフェイスガードのフレームは、どうしても下方や斜め前方の視野を数パーセント遮断します。山内選手は練習中、何度もマスクの位置を微調整し、首の振り方や視線移動のテンポを修正する泥臭い適応作業を繰り返していました。
公の場で見せた引き締まった表情の奥には、チームの勝敗を背負うプレッシャーと、身体的ハンディキャップを技術で埋め合わせようとするプロフェッショナルとしての壮絶な覚悟が刻まれていたのです。