ネット上の掲示板や知恵袋などで頻繁に目にするのが、「ライラックのようなレアカラーのインコは体が弱く、すぐに死んでしまうのではないか」という不安の声です。この噂の真偽について、科学的な視点とブリーディングの現場実態から切り込みます。
結論から述べると、「ライラックという羽色そのものが原因で寿命が縮まる」という遺伝的証拠は存在しません。羽色を決める色素遺伝子の変異自体が内臓疾患や免疫不全を直接引き起こすわけではなく、本来の平均寿命は一般的なセキセイインコと全く同じ7年〜10年前後(適切な健康管理下では12年以上生きる個体も存在)です。
では、なぜ「虚弱」「短命」という噂が根強く囁かれるのでしょうか。そこにはブリード現場における負の側面が潜んでいます。
市場価値が高騰したレアカラーを作出しようと焦る一部の心ない繁殖業者が、形質を固定するために危険な近親交配(インブリード)を繰り返した過去の事例が存在するためです。血統の多様性が失われた無理な交配によって骨格異常や免疫機能の低下を招いた個体が過去に市場へ流出し、「レアカラー=病弱」というステレオタイプが定着してしまいました。
また、ヒナの時期における「換羽(かんう)による色彩変化」も初心者を戸惑わせる盲点です。生後数ヶ月の雛羽から大人の羽へと生え変わる際、幼鳥時の淡い紫色がやや濃くなったり、グレー寄りにトーンダウンしたりすることがあります。羽色の変化を「病気や体調不良」と勘違いしてしまう飼い主が少なくないことも、誤った噂が拡散する一因となっています。