本作が刑事ドラマの枠を超えて愛された最大の原動力は、俳優陣の圧倒的な個性と重厚な掛け合いにありました。主要登場人物を演じたキャスト陣の足跡と、現在の目覚ましい活躍を追跡します。
高見兵吾役:柴田恭兵の比類なきカリスマ性
情熱的で時にルールを逸脱しながらも、犯人と被害者双方の痛みに寄り添い続けた主人公・高見兵吾。演じた柴田恭兵は、『あぶない刑事』で見せたスタイリッシュで軽妙な大下勇次像とは一線を画し、泥臭く感情を露わにする熱血漢を鬼気迫るテンションで演じ切りました。後年の映画『帰ってきた あぶない刑事』でも70代とは思えない抜群の身のこなしと走りを披露し、円熟した演技で各界から絶賛を集めています。インタビューなどで時折語られる本作への愛着は深く、「高見兵吾という男の生き方には、自分自身の人生観が色濃く投影されていた」と振り返るほど、魂を注ぎ込んだ役柄でした。
根岸玲子役:風吹ジュンが魅せた包容力と苦悩
広域特別捜査隊の課長であり、高見兵吾の元妻という複雑な立ち位置を演じた風吹ジュン。上司としての冷徹な判断力と、兵吾の理解者であり元妻としての揺れる情愛を繊細なグラデーションで表現しました。現在も連続テレビ小説や日曜劇場など、日本を代表する名女優として数多くの作品で母親役や重鎮役を歴任しています。画面から溢れ出る柔らかな佇まいと芯の強さは、『はみだし刑事情熱系』で培われた繊細な芝居の延長線上にあるといえます。
西崎駿一役:風間トオルと広域捜査隊の若き鼓動
兵吾とバディを組む若手刑事・西崎駿一を好演した風間トオル。モデル出身の端正なルックスに甘んじることなく、直情径行な兵吾を時にサポートし、時にぶつかり合いながら成長していく姿は、シリーズ序盤の爽快なフックとなりました。近年は俳優業に加えてバラエティ番組やトークショーで独自の生い立ちや人生哲学を明るく語るなど、親しみやすいパーソナリティで幅広い世代から支持を得ています。
松尾菊枝役:故・樹木希林さんが刻んだ不朽の人間味
本作を語る上で絶対に欠かせない存在が、警視庁鑑識課(後に嘱託)の松尾菊枝を演じた名優・樹木希林さんです。緊迫した取調べや事件捜査の合間に、菊枝が持ち込む手作りの惣菜や飄々とした言葉の端々には、人間の業や悲哀を優しく包み込む深い知恵が宿っていました。アドリブとも台本ともつかない希林さんの絶妙な間合いは、ハードな刑事ドラマに温かな血肉を通わせる特効薬となっていました。2018年に惜しまれつつ世を去った後も、彼女が劇中で発した「人はね、誰かに許されたくて生きてるんじゃないのかい」というニュアンスの台詞は、多くのファンの心に深く刻まれています。