はしかの最大の特徴であり脅威でもあるのが、飛沫感染や接触感染にとどまらない麻疹 空気感染 予防策の難しさにあります。ウイルス粒子が直径5マイクロメートル以下の飛沫核となって空気中を長時間漂うため、同じ空間に滞在していただけで、直接会話をしていなくても吸入によって感染します。一般的な不織布マスクの網目をすり抜け、アルコール消毒液に対しても抵抗性を持つため、物理的な遮断だけでは感染防御に限界があります。
感染を防ぎ、また早期に対処するためには、ウイルスの病態進行プロセスを正確に知ることが不可欠です。感染から発症までのはしか 初期症状 潜伏期間はおよそ10日から12日(最大21日)とされています。潜伏期間を経て現れる症状は、大きく3つのステージに分かれます。
- カタル期(発症から3〜4日):38度前後の発熱、強い倦怠感、咳、鼻汁、結膜充血(目の充血や目やに)が始まります。一見すると風邪と区別がつきませんが、この時期が最もウイルスの排出量が多く感染力が高いという極めて厄介な特徴を持っています。発疹が出る前日頃には、頬の内側の粘膜に白く小さな斑点(コプリック斑)が出現します。
- 発疹期(カタル期から数日後):一度少し下がった熱が再び39度〜40度近い高熱へと跳ね上がり、耳の後ろや首筋、顔面から鮮紅色の斑状丘疹(発疹)が現れ、次第に全身へと広がります。
- 回復期(発疹出現後3〜4日):解熱とともに発疹は色素沈着を残しながら消退に向かいますが、全身の免疫力が著しく低下しているため、細菌による二次感染のリスクが続きます。
特に警鐘を鳴らすべきは、大人が罹患した場合の深刻さです。小児期特有の病気と捉えられがちですが、現代において懸念されているのははしか 大人の症状 重症化です。成人麻疹では40度前後の高熱が1週間近く続くことも珍しくなく、肺炎や中耳炎を併発する割合が跳ね上がります。さらに恐ろしいのは、約1,000人に1人の割合で併発する急性脳炎や、感染から数年から十数年の潜伏期間を経て進行性の神経障害を引き起こす「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」といった致死的な合併症が存在する事実です。