荒川中流域から下流域にかけて整備されたビオトープ群は、整備から数十年が経過した2026年現在、極めて成熟したエコシステムを形成しています。人工的に掘削された池やワンド(河川の入り江)は、周囲のヤナギ類やヨシ原の発達によって自然の湿地環境と見分けがつかないほどに同化し、荒川河川敷のエコパークとして独自の生態系を維持しています。
現地取材班が確認したところ、早朝の静けさの中ではカワセミやベニマシコ、越冬に訪れるチュウヒなどの猛禽類が姿を見せ、バードウォッチャーの間で高い関心を集めています。国土交通省荒川上流河川事務所のモニタリング調査資料によれば、確認される野鳥の種数は年間を通じて120種以上にのぼり、都市近郊の河川空間としては突出した密度を誇ります。
さらに水域では、環境省レッドリストに掲載されているトウキョウダルマガエルやミナミメダカ、モノアラガイなどの貴重な水生生物・絶滅危惧種が安定して繁殖を続けています。コンクリート護岸化が進む大河川において、流れが緩やかで水位変動が抑えられたビオトープ池は、在来種が生き残るための「最後のシェルター」として機能しているのが現状です。