山本聖子としてマットに立った時代、彼女はまさに無敵の存在だった。レスリング一家の末娘として生まれ、幼少期から厳格な環境で磨かれた技とメンタル。世界選手権での4度の金メダル獲得は、日本レスリング協会の歴史に燦然と輝く偉業だ。
マット上での鬼気迫る闘志の裏には、偉大な兄・山本KID徳郁氏の存在があった。互いに高め合い、格闘技界を駆け抜けた兄弟の絆は、彼女の勝負師としての骨格を形作った。挫折や怪我に苦しんだ時期もあったが、勝利への執着とレスリングへの純粋な愛が、彼女を何度も世界の頂点へと押し上げたのである。