新潟駅ぽんしゅ館の心臓部といえるのが「利き酒番所(ききざけばんしょ)」だ。入り口の受付で500円(税込)を支払うと、専用のコイン5枚とお猪口(おちょこ)が手渡される。このコインを使って壁面にずらりと並ぶ自販機型サーバーから好みの銘柄を注ぎ分けるのが、ぽんしゅ館の利き酒システムにおける基本的なルールだ。
利用の流れは直感的で極めて明快である。
まず、ずらりと並んだ100種類以上の銘柄から飲みたい酒を選び、注ぎ口の下にお猪口をセットする。続いて所定の枚数のコインを投入口に入れ、黄色いボタンを押すと、1杯あたり約25ml〜30mlの適量が注がれる仕組みだ。多くの定番酒や純米酒は「コイン1枚」で試飲できるが、蔵元が誇る大吟醸や季節限定の秘蔵酒、長期熟成酒などは「コイン2〜3枚」が必要となる。手持ちのコイン枚数と相談しながら自分だけのテイスティングコースを組み立てるプロセスそのものが、来訪者の知的好奇心を刺激する。
さらに現場の満足度を底上げしているのが、利き酒番所の一角に用意された「無料の塩と味噌」、そして「和らぎ水(チェイサー)」の存在だ。新潟県内や佐渡産はもちろん、日本全国や世界各地から厳選された数十種類もの塩が小皿に取り放題となっており、指先に少しつけて舐めながら地酒を口に含む。塩分が舌の味蕾(みらい)を研ぎ澄まし、日本酒本来の甘みと旨味を劇的に引き立てる仕掛けが計算し尽くされている。