現在のエネルギッシュな活動を知る人ほど、相島がかつて生命の危機に瀕していた事実に強い衝撃を受けます。異変が起きたのは2008年、相島が46歳の時でした。舞台の稽古中に激しい体調不良を覚え、精密検査を受けた結果告げられた病名は、消化管の壁に発生する希少な悪性腫瘍「GIST(消化管間質腫瘍)」でした。
年間の発症率が10万人に1〜2人程度とされるこの病気は、一般的な胃がんや大腸がんとは異なり、粘膜の下層に腫瘍ができる肉腫の一種です。当時の特番インタビューや手記において、相島は突然突きつけられた告知の瞬間の心境を「頭が真っ白になり、足元から崩れ落ちるような恐怖だった」と率直に振り返っています。役者として脂が乗り切り、映像や舞台のオファーが途切れなかった時期だけに、その精神的ショックの深さは計り知れないものでした。
告知後、相島は速やかに腫瘍の摘出手術を決断。幸いにも手術は成功したものの、GISTは術後の再発率が高いことでも知られています。そのため、分子標的薬による抗がん剤治療が長期にわたって続けられました。薬の副作用による倦怠感や吐き気、身体の浮腫みと闘いながら、相島を支え続けたのは「もう一度舞台に立ちたい」「表現者として生き抜きたい」という執念でした。徹底した健康管理と定期検診を継続し、5年、10年という節目を無再発で乗り越え、現在では完全克服と言える健康状態を取り戻しています。死の淵を覗き込んだ過酷な経験は、人間の弱さや脆さ、そして生きることの尊さを誰よりも知る名バイプレイヤーとしての陰影を、その演技に深く刻み込むことになりました。