近年、ノンフィクション手記・ドキュメンタリーなどのメディア作品を通して、虐待やネグレクトとは一味異なる「家庭内の生きづらさ」が光を浴びるようになった。特に話題を呼んだNHKスペシャル『ヤングケアラー 告白の行方』の放送以降、NHKオンデマンドやNetflixといった配信プラットフォームでも、家族問題に焦点を当てた映像コンテンツの視聴数が急増している。
取材に応じた30代の女性は、子どもの頃の記憶をこう振り返る。「母は悪気があって私を傷つけていたわけではない。ただ、日常の段取りが組めず、私の感情に共感することが一切できなかった」。こうした声は決して珍しくない。医療・児童福祉業界の専門家も、外からは見えにくい「情緒的ネグレクト」が子どもの心に落とす影の深さを指摘する。家事や兄弟の世話だけでなく、親の精神的な揺らぎを支えるヤングケアラーとしての役割を無意識に担わされてきた実態が、当事者たちの口から次々と明かされている。