「身に覚えがないけれど、重要な要件だったら困るから念のためかけ直そう」――その親切心や几帳面さこそが、犯罪組織にとって最も格好の標的となります。結論から言えば、折り返し厳禁の理由は主に2つの致命的リスクが存在するからです。
1つ目のリスクは、ワン切り高額通話料リスクです。「+1 833」は北米国内での通話であればトールフリー(受取人払い)ですが、日本から国際電話として発信した場合、日本の通信キャリア各社が設定する正規の国際通話料(従量課金制)が発信者に全額請求されます。さらに深刻なのは、国際電話中継サービスを悪用したコレクトコール類似の有料番号や、接続しただけで1分間に数百円〜数千円の追加料金が発生する「国際プレミアムレートサービス(PRN)」へと転送されるケースです。ガイダンスを長々と聞かせて通話時間を引き延ばし、法外な通信料の一部が通信マフィアへとキックバックされる仕組みが存在しています。
2つ目のリスクは、個人情報のリスト化(カモリスト入り)です。犯罪グループはコンピューターで何万件もの番号に自動発信を行い、「折り返してきた番号=現在アクティブに使われており、見知らぬ番号にも反応する警戒心の薄い人物」としてデータを判別しています。一度でも折り返してしまうと、その電話番号は裏社会のデータベースに「有望なターゲット」として登録され、数日後から別の特殊詐欺電話やフィッシングSMS、迷惑メールの波状攻撃に晒されることになります。